隠された表情

石仏の写真を週に一度は撮影にいっています。
主に近所のお寺さんの無縁仏。墓石に彫られた彫像です。
元々は個人のお墓にあったものをお寺さんが保存しているのでしょう。
はじめは沢山あるから撮りきれないと思っていたのですが、通ううちに”好みのお顔”をポートレイト風に撮りたいと思うようになりました。
そうなると難しいものです。

石仏の表情は作った人が抱く仏様のイメージ(信仰観)が大きく反映しています。
それぞれが持つ表情や雰囲気が違うのです。またお寺の保存状態によって感じも変わります。

今まで撮ったなかでも特によかったなと思うのがこの写真です。


慧光妙照信女 享保六年(1721年)辛丑天 九月十五日

ほとけさまというより女性の彫像のようですが、そこがいいです。
音楽を聴いているような、風の音を楽しんでいるような、いきいきとした表情。

この仏様は一見こんな風には見えませんでした。
じっくりお顔を拝見して角度を変えてみていくと印象がかわりました。
一番いい角度で撮りました。写真にするとさらに表情が際立ちました。
季節や時間でも表情がまた変化するので、訪れたタイミングもよかったと思います。

石仏撮影を通して、ものの表情を見抜くよう細心の注意を払うようになりました。
ほとけさまのおかげで少し写真術が進歩したなあと感じています。
写真の仏様はこの世に来てから今年でちょうど300年目。
ということはちょうど300年前に亡くなった方の忘れ形見でもあります。
300年後の日本人にも、安らぎを与えてくださっています。
合掌。

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